ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」103

一方、まだあの公園で遊んだことのないラブ、フルア、スノーは、あの公園で遊んでみたい、というワクワクで胸がいっぱいになりました。
公園は整備されておらず、遊具や時計も色褪せてしまっていたけれど、ロルトと会ったり、老木さんのお話を聞くと、ラブ達の心はぐんぐん公園に惹かれました。
そして、一度閉鎖されてしまったものにも、すてきなものはたくさんつまっていることに気づきました。
ラブ、フルア、スノーは、あの公園でただ遊びたいだけでなく、あの公園に街の人々の笑顔が輝く光景も見たいと思いました。

カテゴリー: お話, 第19話(初版) | コメントする

ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」102

みんなはそれぞれのお家に帰ると、パジャマに着替えて、ベッドに入りました。
ベッドに入り、夢の中に入っていく時、みんなはあの公園で遊んだ時のことを思い出していました。
閉鎖され、怖いものに変わってしまっていた公園でしたが、もう一度訪れて、ロルトに会い、老木さんのお話を聞くと、公園での楽しかった思い出が蘇ってきました。
公園が閉鎖されてしまったのは、イオ達がラブ、フルア、スノーと出会う前です。
イオ、ミラリィ、ミール、ピピの4人でいろんな遊具でたくさん遊び、たくさんお話をしました。
公園で楽しい時間を思い出すと、ラブ、フルア、スノーも一緒にあの公園で遊びたい、という気持ちがイオ、ミラリィ、ミール、ピピの胸に湧いてきました。

カテゴリー: お話, 第19話(初版) | コメントする

ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」101

ラブは夜中に飛び回ってちょっと疲れちゃったのか、うとうとしながらふーっと下に舞い降りてきました。
ミラリィはラブを優しく受け止めて、みんなはラブの寝顔を見ながらにっこり笑いました。
(ロルト)「みんな、来てくれてありがとう。まだ街の人が起きるまで時間があるから、一旦帰って寝よう。」
(イオ)「うん、そうしようか。」
(フルア)「後でまた集まりましょう。」
みんなは一度街に戻りました。
ラブはミラリィの腕の中ですやすやと眠っています。

カテゴリー: お話, 第19話(初版) | コメントする

ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」100

ラブが空に舞い上がってみると、少し辺りが明るくなってきています。
公園の色褪せた時計は早朝をさしていました。
お日様の光に照らされたロルトは眠そうにあくびをしました。
(ロルト)「僕はおばけだから、昼間は眠くなっちゃうんだ。君達も眠くないかな?」
ロルトの言葉を聞くと、夜中に起きていたラブ達も、眠くなってきました。
ロルトに言われるまでは、眠いなんて思いませんでした。
不思議な白い光と光の道に心と体を引かれ、ロルトと心が繋がって、明るい気持ちが湧いてきたからです。

カテゴリー: お話, 第19話(初版) | コメントする

ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」99

(ロルト)「…街のみんながこの公園を思い出してくれて、公園に笑顔が戻ってきたら、僕は元の精霊に戻れるんだ。」
(ピピ)「じゃあ、街のみんなにこの公園のことを話してみよう。」
(ロルト)「でも、公園を開けるには、街の人全体が動かないといけないし…」
確かに、一度閉鎖されてしまった公園を開けるのは、子ども達の意思だけでは難しいものです。
少し下を向くロルトにみんなは、
(ミール)「やってみなくちゃわからないよ!」
(フルア)「落ち込んでいるんじゃなくて、行動にうつしてみましょう。」
みんなの明るい言葉と態度に、ロルトは顔をあげました。
(ロルト)「うん、ありがとう!」
その時、木々の間から柔らかな光が差してきました。

カテゴリー: お話, 第19話(初版) | コメントする

ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」98

足首の少し上辺りからが消えて、宙に浮かんでいます。
(ロルト)「え…そんな…」
笑顔を忘れられた施設や建物の精霊はおばけになってしまう、それが精霊達のおきてです。
この公園は閉鎖され、笑顔は見られなくなってしまいました。
ロルトは自分がおばけになってしまったことをさとりました。
ロルトの涙が誰にも駆け回られなくなった地面を濡らしました。
それを聞いていたラブは言いました。
(ラブ)「みんなでこの公園に笑顔を取り戻しましょう!」
みんなも大きくうなずきます。
(イオ)「ロルト君、何か方法はないかな?」
ロルトは瞳を大きくして、少し緊張したように言いました。

カテゴリー: お話, 第19話(初版) | コメントする

ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」97

ロルト自身も、言葉を口にすることがなくなり、静かになっていきました。
たくさんの人が遊びにきてくれて、賑わっていた頃を思い出すと、胸がつまって、涙がこぼれます。
ロルトは体から力が抜けて、その場に座り込もうとした時、違和感を覚えました。
(ロルト)「…?」
ロルトは下を見ると、びっくりして、心も体も強張ってしまいました。

カテゴリー: お話, 第19話(初版) | コメントする

ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」96

(ロルト)「そうしているうちに、風の強い日があったんだ。歳をとって、弱くなってきていた老木さんは風で倒れてしまって…遊具が壊れたり、折れた枝で公園にいた人達が軽いケガをしちゃって…公園が閉められちゃったんだ。」
老木が倒れて人々がざわめく中、ロルトの心もザワザワと揺れていました。
公園が閉鎖され、周りに柵が作られていく光景を思い出し、ロルトは胸で手をぎゅっと握ります。
(ロルト)「それから、賑やかだった公園が、静かになっちゃって、遊具も…」
遊ばれなくなり、色褪せていく遊具を見ると、ロルトは胸が痛みました。

カテゴリー: お話, 第19話(初版) | コメントする

ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」95

(ロルト)「老木さんと一緒に、この公園でたくさんの人の笑顔を見てきたんだ。みんなの笑い声を聞くと、老木さんもうれしそうに葉っぱを揺らしたんだ。」
イオ、ミラリィ、ミール、ピピもこの公園で遊んだことを思い出しました。
そこまで話すと、ロルトは少し寂しそうな顔をしました。
(ロルト)「でも…月日が流れていくと、老木さんも歳をとっていって…枯れ枝も増えていたんだ。でも、老木さんはこの公園のシンボルとして、たくさんの人に親しまれていたんだ。だから…街の人の間でも、切ってしまうのも少し気持ちに揺らぎがあったみたいで…」
公園が閉鎖されたのは、ずいぶん前のことです。
でも、ロルトは切り株になった老木さんに寄り添いながら、閉鎖される前のことをはっきりと話しています。

カテゴリー: お話, 第19話(初版) | コメントする

ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」94

(ロルト)「これが、倒れた老木さんなんだ。」
ロルトは切り株をじっと見つめて言います。
(ロルト)「この老木さんは、この公園ができた時、植えられたんだ。その施設、建物ができた時、そこの精霊も生まれるから、老木さんと僕はずっと一緒なんだ。」
「老木さん」と呼びかけるロルトの目は少し輝いています。

カテゴリー: お話, 第19話(初版) | コメントする