心をほっこりさせるお話作り – BLピンクが出版するまでの物語 –

(おばけの男の子)「そうだ、僕はロルトっていうんだ。」
ラブはにっこり笑ってロルトの名前を呼びました。
(ラブ)「よろしくね、ロルト君。」
ミラリィが言いました。
(ミラリィ)「倒れた老木って、どんな木だったの？」
(ロルト)「それなら、みんな、ついてきて。」
ラブ達がロルトについていくと、そこには切り株がありました。

(イオ)「君のこと、怖いなんて少しも思ってないよ。」
(ピピ)「それに、苦しい思いをしてるのに、放っておくなんてできないしな。」
(ラブ)「わたし達、できることなら精一杯やるわ！」
(おばけの男の子)「みんな…ありがとう！
おばけの男の子の瞳が輝きました。

(おばけの男の子)「でも…この公園で老木が倒れる事故が起きてから、ここは閉鎖されてしまって…誰も遊びにこなくなって、明るい笑顔が見られなくなった…」
おばけの男の子の目にみるみる涙があふれます。
(おばけの男の子)「笑顔を忘れられた施設や建物の精霊はおばけになってしまうんだ。僕、ずっと寂しくて泣いていたら、いつの間にか足がなくなって、おばけになっていたんだ…」
ラブ達はじっと聞いていました。

(おばけの男の子)「僕は…この公園の精霊なんだ。施設や建物にはみんな精霊がいて、みんながその場所で楽しい時間を過ごしてくれることが１番うれしいことなんだ。」
ラブ達はおばけの男の子のお話に聞き入っていました。
絵本で読んだような精霊さんとお話できるなんて…。
施設や建物に精霊さんがいるなんて、初めて聞きました。
でも…おばけの男の子は悲しそう。

本物のおばけさんが目の前にいて、しかもそのおばけさんが自分達を呼んだなんて…。
(スノー)「あの白い光も、光の道も、君が作ったの？」
(おばけの男の子)「そうだよ。」
(フルア)「どうしてわたし達を呼んだの？」
(おばけの男の子）「それは…」
おばけの男の子は話し始めました。

(男の子)「僕は…おばけなんだ。」
ラブ達は目を見はりました。
(イオ)「おばけさん？」
(ミラリィ)「もしかして…わたし達を呼んだのはあなたなの？」
おばけの男の子は小さくうなずきます。
ラブ達は心が大きく揺れました。

その子は、真っ白な服を着て、透き通った羽を持った、美しい男の子でした。
人間や動物ではないようです。
でも、なんだか悲しそうな表情を浮かべています。
そして、男の子を見ていたラブ達は、ある違和感を覚えました。
男の子は、足首の少し上辺りから消しゴムで消したように、消えてなくなっているのです。
(ラブ)「あ、あなたは…？」
男の子は静かに言いました。

着いたのは、あの閉鎖されてしまった公園でした。
公園には、窓から見えた白い光が浮かんでいます。
(ミラリィ)「あっ、あの光…」
みんなが不思議そうに辺りを見回していると、どこからか声が聞こえました。
「来てくれたんだね。」
(ラブ)「だあれ？」
木の陰から、誰かが姿を現しました。

そうしているうちに、光の道の光が強まってきました。
光は、ラブ達の心と体をひきつけ、ラブ達はなんだか力が湧いてきます。
(ラブ)「みんな､行きましょう！」
ラブの声にみんなはうなずき､光の道を辿っていきます。
進んでいくと、だんだん木が増えて、辺りはさらに暗くなってきました。
(ミール)「ここは…」
光の道が続いていた場所に着くと、みんなは息をのみました。