ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」217

1人の子が飾りを集めに行っている間、ユヅルと他の子ども達は力を合わせて砂の街を作っていました。
「王様は1番高い塔から街を眺めるのが好き」、「三つ子の妖精さんが住むお家」などみんなでアイディアを出し合いました。
砂のお城やお家がたくさんできてくると子ども達は、
「細かいところまで作るのはちょっと難しかったけど、みんなでやったらうまくできたね。」
「お家もいっぱいあって賑やかな街になるね。」
「砂の街では、おもちゃやきれいな石、お花を砂の中に隠して、みんなでそれを探すゲームをするの。」
「本当にお城やお家の中に入れたらいいのになぁ。」
子ども達の目がきらめきます。
そんな子ども達を見たユヅルは思いました。

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ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」216

お城やお家にはしま模様や花柄など、細かい模様も書かれています。
その子は目を丸くして、
「模様もつけたなんてすごいね!」
他の子達はにっこり笑って言いました。
「ユヅルお兄ちゃんが描いてくれたの。」
「ユヅルお兄ちゃんが?」
普段ならお料理やお菓子を作っているユヅルは細かい作業も得意です。
お料理やお菓子の見た目にも気をつかっているユヅルは、野菜を星形に切ったり、ケーキにクリームで模様をつけたりと目にも楽しいお料理やお菓子を作っています。
だから、砂の街も華やかでワクワクする場所にしたい、と思って建物に模様をつけてみました。

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ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」215

「わぁ、きれい!」
「こんなにたくさん、よく集めたね。」
バケツの中はいろんな色のいろんな形の葉っぱ、透き通った優しい色合いの色とりどりの花びら、つやつやしたかわいい木の実、すてきな飾りでいっぱいです。
みんなはお日様のような笑顔を見せます。
「砂の街がカラフルになるね!」
「みんなでおしゃれに飾りましょう!」
みんなの笑顔を見て、その子の顔にも微笑みが広がります。
「みんなでいっぱい飾って、きれいな砂の街にしよう!」
どんなふうに飾ろうか、その子は砂のお城やお家に目をやりました。

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ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」214

バケツがいっぱいになると、
「そろそろみんなのところに戻ろうかな」
その子はバケツを大切に持って、砂場に戻りました。
砂のお城は屋根や塔もできていて、かわいらしい砂のお家もたくさんあります。
「うわぁ、みんな、頑張ってるなぁ。」
その子はみんなに呼びかけました。
「みんな、飾りを持ってきたよ!」
みんなは顔をあげ、その子のところにきました。
「ありがとう、嬉しいよ。」
「こっちも砂の建物ができてきたところだよ。」
バケツを中を覗いたみんなは、

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ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」213

「何だろう?」
バケツの中を覗くと、中にはつやつやしたかわいい木の実が入っていました。
「あれ、木の実?」
立ち上がって上を見上げると、ベンチのそばにあった木には、つやつやしたかわいい木の実がたくさん実っています。
地面には落ちている木の実もたくさんあります。
「わぁ、かわいい木の実がいっぱいある!」
その子は顔を輝かせ、とても楽しそうに地面に落ちている木の実を集めていきます。
「思いっきり体を動かしてみたら、本当にすてきなものが見つかったな。みんなでみんなの笑顔を作ろう」
バケツは色とりどりのすてきな飾りでいっぱいになりました。

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ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」212

子ども達はみんな思いっきり動いて、いっぱい笑って、お互いの笑顔を大切にしています。
その光景にその子は胸がほわっとして、ベンチに座り、公園を見渡してみました。
たくさんの人と、たくさんの人のすてきな笑顔が見えます。
じっくり見てみると、公園はいろんな人のいろんな思いがあって、広い世界です。
じっと立って悩んでいた自分の考えの世界から、座って辺りを見回してみると、なんだか心が落ち着いて、自分の素直な気持ちにも目を向けられるようになります。
一度落ち着いて考えてみると、心の底にあったのは、「きれいな飾りを見つけて、みんなを笑顔にしたい」という思いでした。
でも、行き詰まってしまうと、「ここまではうまく行っていたのに、もっといいものを見つけないと」と思い詰めてしまっていました。
その子は、自分がより良くしようと考えているうちに、大切なことを忘れていたことに気づきました。

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ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」211

体を動かしていると、カラフルで、賑やかな世界が見えてきます。
それに、とても明るい気持ちになってきました。
じっと考えている時は、人々にも遊具にも目を向けず、いろいろな音にも耳を傾けようとしていませんでした。
考えすぎている時は、1つの考えに縛られて、周りのことが見えなくなってしまうこともあります。
答えを見つけたいのに、そのヒントになるものを見逃してしまい、考えるのに疲れて、「もう答えは見つからないかも」と諦めてしまう。
それはすごくもったいない、とその子は思いました。

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ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」210

その子は、顔を上げて、公園の中を歩き回ってみました。
歩いていると、人々の楽しそうな声、木々の葉が風で揺れる音、小鳥達のさえずりなど、いろんな声が聞こえてきます。
いつもの公園なのに、なんだかとても広く感じます。
たくさんの遊具にたくさんの草木、たくさんの遊具。
なんだか心がぽかぽかしてきます。

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ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」209

そんな様子を見ていたその子は、元気いっぱい、笑顔いっぱいに遊んでいる子ども達がとてもすてきに思えました。
遊んでいる子ども達は、みんな思いっきり体を動かしています。
思いっきり動き回ると、「こうじゃないとダメ」「ありえない」といった縛りが解けて行きます。
じっと静かに考え込んでいる時、たくさん動いて、たくさん笑い、一度心を他のことに向けてみると、いいアイデアが浮かんでくることもあります。
そう思うと、なんだか元気が湧いてきました。
「僕も思いっきり動いてみようかな」
そう心に浮かんだ時には、もう体は動いていました。

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ココのキセキとキズナの大冒険 第19話「おばけと忘れられた笑顔」208

「そう。「怖い」と「楽しい」って気持ちがゆらゆら揺れてるんだ。やっているうちに、「楽しい」って気持ちが強くなるかもしれないよ。」
そんな言葉を聞くと、怖がっていた子の表情が明るくなっていきます。
相手の子の明るさに惹かれ、怖がっていた子は、だんだん楽しくなってきました。
そして、怖がっていた子は、自分の乗っている方が下がった時、笑顔になっていました。
「上にあがって、ストン、っておりてくるのも面白いね。」
それを聞いた相手の子は、
「よかった、一緒に楽しめて。」
シーソーにはすてきな笑顔が輝いています。

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