心をほっこりさせるお話作り – BLピンクが出版するまでの物語 –

「模様をつけるなんて、すごいね！」
「どんな模様をつけるの？」
子ども達は顔を輝かせました。
ユヅルも表情を明るくしました。
自分より年上のアイデアと優しく受け入れて、夢の世界に迎え入れてくれる。
ユヅルは胸がぽかぽかして、アイデアがどんどん湧いてきました。

気持ちやイメージを形や模様で表してみようと思いついたのです。
(ユヅル)「何か模様を描くのにいいものはないかな…」
ユヅルが辺りを見ると、木の枝が落ちています。
(ユヅル)「あれをペン代わりに使ってみよう。」
ユヅルが木の枝を手に取ると、子ども達が言いました。
「ユヅルお兄ちゃん､どうしたの？」
ユヅルはちょっとドキドキしながら答えました。
(ユヅル)「お城やお家に模様をつけてみるのはどうかなって思ったんだ。」
それを聞いた子ども達は、

ユヅルは、お料理やお菓子作りと、子ども達との砂の街作りを照らし合わせてみました。
食材の中には､調理しないと食べられないものもありますが、調理していくと、美味しいお料理やお菓子に大変身します。
砂も、普段「きれい」とはあまり言われないけれど、想像力を膨らませて工夫をすれば、きれいな街になります。
飾り切りをする時は、「明るいにんじんのお花を咲かせてお花畑のシチューにしてみようかな」「お花畑で動物達が遊んでいたら楽しそうだな。くまちゃんがお花を見ていると、クリームの海からクジラが来てくれるんだ」と想像力を膨らませて、きれいに飾っていきます。
ユヅルはお料理やお菓子を１つの世界のように考えているのです。
砂の街も、子ども達の夢の世界です。
ユヅルはもしお城やお家の中に入れたら…と空想します。
お城ではみんなの笑顔が大好きな王様が子ども達と一緒にお城の中に隠してあるおもちゃを探すゲームで遊んでいるのかな？
お家からは住民達の楽しそうなおしゃべりが聞こえてきそうです。
ユヅルはワクワクしてきました。

シチューを食べた子ども達は､
「ほかほかして、優しい味がしてとっても美味しい！」
「飾り付けとすてきで、心もぽかぽかするな。」
明るい笑顔を見せてくれました。
ユヅルは子ども達に優しく笑いかけます。
「それはよかった。」
お父さん､お母さんたちも
「こんな飾り切りができるなんて、すごいね。」
「ユヅル君、頑張って作ったんだね。」
にっこりしながらそう言ってくれました。
ユヅルの顔に微笑みが広がります。
「ありがとうございます。」
ユヅルはお客様の笑顔を見て、とても幸せな気持ちになりました。

ウインナーを切り終わると、ユヅルは丁寧にシチューをウインナーを入れます。
やがて、他の材料も切ってしっかり煮込むと、ほかほかのシチューの完成です。
(ユヅル)「よし、できた！」
ユヅルはお皿をしっかりと持ち、お客様の元にシチューを運びます。
(ユヅル)「失礼いたします。シチューです。」
ユヅルは明るく笑って、シチューをテーブルに置きました。
シチュー見た子ども達の目がきらめきます
「わぁ、お花の形のにんじんだ！」
「動物の形のウインナー､かわいい！」
ユヅルはにんじんをかわいいお花の形に切ったり、ウインナーに模様をつけたり、のりを貼り付けて顔を作ったりして、動物の形にしたのです。
白や緑といった落ち着いた色の中にオレンジのにんじんのお花が映えて、まるでお花畑みたい。
クリームにちょこんと座っているかわいいくまちゃんの形のウインナーや､のりをかぶせて、青いピックを飾ったクジラの形のウインナーもあります。

子ども達はいつもぬいぐるみ達に「こんにちは！」「ここのご飯、美味しいね」などと話しかけてくれます。
ミラリィはスタッフトゥトイランドのぬいぐるみ達に、
「カフェ・ド・アニマルのお料理やお菓子は、ミールやユヅルさん達の優しい気持ちがこもっていて、優しい味がするの。最近カフェ・ド・アニマルで楽しかったことは何？」
と優しく語りかけます。
そんな時は、ぬいぐるみ達の瞳はキラキラ輝くようです。
ユヅルは顔を明るくして、包丁を手に取ると、ユヅルはウインナーに切れ込みを入れたり、のりを貼り付けたり、魔法のように次々とウインナーをいろんな形に変身させていきます。
一生懸命手を動かしているユヅルを、ぬいぐるみ達も見守っているようです。

次にユヅルはウインナーを取り出しました。
(ユヅル)「ただ切るだけじゃ面白くないなぁ。」
カフェ・ド・アニマルは内装やお料理やお菓子の盛り付けにもみんなが楽しく過ごせるように遊び心がいっぱいです。
(ユヅル)「何かヒントになるものは…」
ユヅルがキッチンを見回すと、いつも椅子にちょこんと座って､ユヅル達の調理を見守ってくれているぬいぐるみ達が目にとまりました。
カフェ・ド・アニマルでは、キッチンだけでなく、飲食をするスペースや入り口、レジのところにも可愛らしい動物のぬいぐるみを置いています。
中にはスタッフトゥトイランドのミラリィの手作りのぬいぐるみもあります。
ぬいぐるみ達はいつも優しい瞳をしていて、ユヅル達､お客様達の心を和ませてくれます。

ユヅルはお客様達の笑顔が大好き。
いつもお客様が美味しいお料理やお菓子を食べて、楽しい時間を過ごせるように、と願いを込めて調理をしています。
そしてできあがったお料理やお菓子はただ盛り付けるだけでなく、見ているだけでも楽しくなってくるように、飾り付けにも力を入れます。
ユヅルは１つ１つのお料理やお菓子をよく見て、それにあった飾り付けをしていきます。
具がたくさん入ったあたたかいシチューには、
「食べた人の心もあったかくなるようにしたいな。」
ユヅルは大好きなお客様の笑顔を思い浮かべました。
「美味しい」と言ってくれるお客様の笑顔は、明るくて、お料理やお菓子を作った人にも、一緒に食べている人にも元気を分けてくれて、例えれば…。
ユヅルはいいアイディアが浮かびました。

ユヅルは新メニューを考えていた時、品数や飾り付けなど、目に見えることばかり気にして､悩み、疲れてしまっていました。
子ども達は建物も遊具もない場所でも、みんなの夢を合わせて、街やその住民を生み出し、みんなの笑顔の源を作っていきます。
そして、「遊び」でもみんなの力を合わせて、個性を活かして、夢の世界を形にしていきます。
元気と笑顔にあふれ、生き生きとした子ども達と一緒に砂の街を作っているうちに、ユヅルは「自分も頑張りたい」「砂の街に夢を広げたい」という気持ちが湧いてきました。
「自分にできることは何だろう？」と考えた時、ユヅルはいつも頑張っているお料理やお菓子作りを思い出しました。

子ども達はみんな、それぞれの個性を考え､活かし､精いっぱい砂の街を作っています。
「遊び」でも子ども達は思いっきり頭と体を動かして頑張っているのです。
そして、子ども達は想像力を膨らませて、砂の街に夢をあふれさせていきます。
一見何もないような砂場でも、子ども達の夢で、カラフルな世界が広がっていきます。
夢の力で砂の街の住民達に命が吹き込まれ、砂の街は生き生きとしたすてきな街になっていきます。
子ども達の頑張りと夢見る力は、魔法のようです。
目に見えることにとらわれないことを、ユヅルは子ども達から教えられました。