心をほっこりさせるお話作り – BLピンクが出版するまでの物語 –

(イオ)「だいぶ天気が悪いけど…スイカはお店に並ぶかな…？」
イオは少し体を縮こめます。
(ミラリィ)「雹まで降ってきたわね…。」
ミラリィはぬいぐるみをぎゅっと抱きしめます。
(ミール)「早く晴れないかな…。」
ミールは少しドキドキしてきました。
雨と雹は曇った空から降り続け、街を水と氷で包んでいきました。

(ピピ)「スイカ畑…大丈夫か…？」
スノーが不安そうに言いました。
(スノー)「雹は…農作物にも被害が出ることがあるんだ…。」
(フルア)「ええっ、何かあったら…」
みんなは胸が痛みます。
その頃、イオ達も、同じことを考えていました。

(ピピ)「どうしたんだ、フルア？」
(フルア)「空から、氷が降ってきたわ！」
ピピとスノーも窓の外を見ると、本当に氷の粒が降っています。
(スノー)「これは、雹だね。」
(フルア)「ひょう？」
(スノー)「５mmくらいの氷の粒が空から降ってくる現象だよ。建物にも傷がつくことがあるから、気をつけないと。」
そのとき、みんなはあることが頭をよぎりました。

(ピピ)「夕立は急に起きるものだから、外にいるときに起きたら、大変なんだよな。」
(スノー)「雷も危ないから、気をつけないとね。」
雨はまだ降り続けています。
窓の外を見ていたフルアが言いました。
(フルア)「雨が、また強くなってきたわよ…。」
空からは大粒の雨が降り、道は川のように雨水で埋め尽くされていきます。
しばらくすると、フルアが「あっ！」と声をあげました。

(ラブ)「雨の音を聞いてると…なんか、眠くなっちゃう…」 言い終わらないうちに、ラブはあくびをします。 (ピピ)「それじゃあ、ラブ。少し寝ようか。」 (スノー)「ゆっくり寝て、元気になろう。」 (ラブ)「ありがとう。」 ピピは自分の部屋のベッドにラブを寝かせました。 (フルア)「おやすみなさい、ラブちゃん。」 ラブはすやすや眠り始めます。 ラブを起こさないよう、ピピ達はリビングに行きました。

やがて、しばらくすると、雷はおさまってきました。
(ラブ)「あっ、雷がおさまってきたわね。」
(スノー)「よかった。」
(ピピ)「もう少ししたら晴れるかな。」
(フルア)「雨の音って、なんだか気持ちが落ち着くのよね。」
ラブは言いました。

(ユヅル)「大丈夫だよ。ここにいる限り、雨に濡れることもないしね。」 (ミール)「そうだね！」 そう言って、ミールはまたお客さんに笑顔で接客を始めました。雨音がカフェに心地よいリズムを奏でている中、ミールとユヅルの温かい兄弟の絆が、カフェ・ド・アニマルをさらに暖かい場所にしていました。

カフェ・ド・アニマルでは、ミールはずっとユヅルの近くにいました。
カフェのお仕事をてきぱきこなしているミールも、やっぱり夕立は怖いのです。
そんなミールも見たユヅルは言いました。
(ユヅル)「大丈夫さ、ミール。」
(ミール)「兄さん？」
(ユヅル)「夕立だっていつかはやむ。やまない雨はないんだから。」
お兄さんの優しい言葉を聞いたミールは明るく言いました。
(ミール)「うん、ありがとう、兄さん。」
ユヅルも優しく笑います。

ミラリィの家では、ミラリィもちょうど怖かったけれど、ぬいぐるみを安心させるようにやわらかなソファのクッションの上に寝かせました。
ぬいぐるみは、うれしいときは喜びを分かち合ってくれて、悲しいときには寄り添ってくれます。
ミラリィはぬいぐるみ達が大好きなのです。
それを見ていたミラリィのお母さんが言いました。
(ミラリィの母)「ぬいぐるみ達もきっとミラリィが大好きよ。」
それを聞いたミラリィはにっこり笑って、ぬいぐるみを寝かせたソファのクッションの横に座りました。
(ミラリィ)「みんなでいれば、笑顔になれるわね。」