心をほっこりさせるお話作り – BLピンクが出版するまでの物語 –

(ピピ)「その…ちょっと…昨日の夕立で、公園が…荒れちゃったんだ。」
(ラブ)「そうなのね…みんなで遊んでる公園が…」
ラブは窓の外の青い静かな空を見上げて言いました。
(ラブ)「お空さんって、昨日は真っ暗で、大きな音を立てていたけれど、今は青くて静かね。スノー君がお空さんにも心があるって言っていたわね。心があるってことは体調もあるのかしら？」
ラブの言葉を聞いたピピも窓の外に目をやりました。

お昼過ぎ、ピピの部屋のベッドに寝ていたラブは、みんなを心配して、静かに椅子に座っていたピピに言いました。
(ラブ)「ピピ君」
(ピピ)「どうした、ラブ？」
(ラブ)「ピピ君、何かあったの？」
ピピは答えに迷いました。
スイカのことは、ラブには内緒と約束しているからです。
でも、ラブの心に渦巻いている心配を放っておくのは、心によくありません。

ラブは体調は良くなってきたけれど、ピピの元気がないので、みんなにも何があったのかしら、心配は大きくなりました。
ラブはみんながケガや病気をしたり、苦しそうにしているのを見るのがとてもいやでした。
(ラブ)「みんな、大丈夫かしら…？」
ラブは窓から、夕立とは打って変わって、青く晴れた空を見つめました。

みんなの心も暗く沈んでいました。
(イオ)「あんなに荒れちゃって…お店に並ぶのはいつかな…。」
(ミラリィ)「やっぱり、雹がスイカにも当たっていたのね…。」
(ミール)「かなりの被害だったな…。」
(スノー)「どうして夕立なんて起きたんだろう…。」
(フルア)「大きく育っていたのに…。」
みんなは体は元気でも、心は元気ではありませんでした。

家に帰って来たピピを、ラブは明るく迎えます。
(ラブ)「ピピ君、おかえりなさい！」
ラブの明るい声を聞いたピピははっと顔をあげました。
(ピピ)「あっ、ただいま、ラブ。」
いつもなら元気よく挨拶をするピピがいつもと違うので、ラブの心には夕立の時のような心配の黒雲が広がっていきました。
(ラブ)「どうしたのかしら…？」

「あっ！」
スイカ畑は夕立で変わり果てた姿にしまっていました。
雹が当たってしまい、スイカには穴が空いてしまっています。
(ピピ)「うわっ、そんな…」
(スノー)「これはひどい…。」
(ミラリィ)「スイカに穴が空いてるわ…」
(イオ)「これじゃお店に並ばないよ…。」
(ミール)「自然のことだから、何が起きるかわからないね…。」
(フルア)「育ったスイカだったのに、残念ね…。」
がっかりしたみんなは、すっかり元気をなくしてしまいました。

(ピピ)「ずっと気になっていたけれど…本当に大丈夫かなぁ…。」
(イオ)「ドキドキするな…早く行こう。」
(ミラリィ)「夕立で雷もなっていて、雹まで降っていたし…。」
(ミール)「スイカが大丈夫か気になるけど、見に行くのは少し怖いな…。」
(スノー)「大丈夫っていう保証はないし…」
(フルア)「スイカはきれいなままであってほしいわね…」
みんなは不安を胸に閉じ込めてスイカ畑に向かいます。
みんながスイカ畑につくと…。

(ピピ)「ラブ、体はどうだ？ご飯は食べられるか？」
(ラブ)「だいぶよくなってきたわ。」
ラブは元気な時よりは少なかったけれど、朝ごはんを食べました。
朝ごはんを食べて、歯磨きをすると、ピピはすぐに外に出る準備をしました。
(ピピ)「ラブ、外に行ってくるな。」
(ラブ)「行ってらっしゃい。」
ピピはスイカ畑に急ぎました。
ちょうどその頃、みんなもスイカ畑に向かっていました。

次の日の朝、ラブとピピは目を覚ましました。
(ラブ)「おはよう、ピピ君。」
(ピピ)「…おはよう、ラブ。」
いつもなら元気に声をかけてくれるピピがいつもと違うので、ラブは心配になりました。
(ラブ)「ピピ君…」
ラブとピピは着替えて身支度をすると、リビングに行きました。

(ピピ)「せっかく考えたのに…。」
(イオ)「雹がスイカに当たってないかな…。」
(ミラリィ)「やっぱり心配だわ…」
(ミール)「被害が出ていないといいけれど…。」
(スノー)「明日の朝、すぐにスイカ畑に行こう。」
(フルア)「そうね、お兄ちゃん。」
ピピのベッドに一緒に寝ているラブは言いました。
(ラブ)「ピピさん、大丈夫？」
(ピピ)「ああ、平気だぜ。」
でも、ラブもみんなが何か悩んでいるのか気にしていました。