心をほっこりさせるお話作り – BLピンクが出版するまでの物語 –

その夜、ミラリィのお部屋で、ミラリィの手作りのピンクのネグリジェを着たラブは、窓から外を見ていました。
ラブは少し表情を固くしています。
すると、優しい声がしました。
(ミラリィ)「ラブちゃん、どうしたの？」
ラブはミラリィの優しい瞳真っ直ぐ見て、言いました。
(ラブ)「あの閉まっちゃった公園､誰にも遊ばれなくなって、なんだか寂しそうだったの。」
ミラリィもラブの大きなピンクの瞳を真っ直ぐ見て、聞いています。

辺りを見回していたミールが言いました。
(ミール)「ちょっと暗くなってきたから、そろそろ帰らない？」
辺りは少し暗くなってきて､おばけさんが目を覚まし始めそうな時間です。
(ミラリィ)「そうね、行きましょう。」
ラブは今日はミラリィのおうちに帰ります。
でも、ラブを抱いたミラリィは、ラブがいつもとちょっと違うことに気づきました。
いつもはラブを抱くと、ラブの元気が伝わって､心と体がぽかぽかするのに、今はなんだかしんみりしているみたい。
(ミラリィ)「ラブちゃん…」
みんなも心配になりました。

おばけさんが出る、なんて噂が立つのも、無理はなさそうです。
(ミール)「閉鎖されちゃったから、整備もされていないのかな。」
(ミラリィ)「閉鎖される前は明るくて遊具もきれいだったけれど、今は変わってしまったのね…」
人が来ることのなくなった公園は、暗く､しんみりとしています。
イオ達も以前は、この公園でよく遊んでいました。
でも、閉鎖されてしまうと、公園の存在は怖いものに変わってしまいました。
ラブはちょっと哀しそうな目をして、静かにしていました。

やがて、公園の近くに着きました。
(イオ)「さあ、ここだよ。」
公園は柵で囲まれて､中に入れなくなっています。
遊具も色があせて壊れている箇所もあります。
木がおいしげり、夜でなくても恐ろしげな印象の場所です。
おばけさんが出る、なんて噂が立つのも、無理はなさそうです。

(ラブ)「そうなの？どんな場所なのか、行ってみたいわ。」
ラブは好奇心いっぱいの目で言います。
(イオ)「じゃあ、閉鎖しているから公園の中には入れないけど、近くまで行ってみようか。」
みんなは公園に向かいました。
(ラブ)「おばけさんに会えるかしら？」
ラブはワクワクでいっぱいです。

「ねえ、あの公園のお話、聞いた？」
「うん、聞いたよ、すごく怖いよね。」
ラブは首を傾げました。
(ラブ)「えっ、公園が怖いの？」
公園は、みんなが楽しく遊ぶ、明るい場所。
いつも笑顔で包まれている公園が怖いだなんて、一体どういうことなのでしょう？

(ピピ)「みんな、もっとおばけさんになりきってみよう！」
(ラブ)「もちろんよ！」
ラブ達は、みんなでおばけさんのことをたくさん考えて、一生懸命なりきりました。
それは、少しも怖くはなく、とても楽しい時間でした。
みんなで遊んでいるうちに、ふと気がつくと空は美しいオレンジ色に染まっていました。
(スノー)「もう夕方だね。」
(ミール)「そろそろ帰ろうか。」
ラブ達は街の方に戻ります。

(ミラリィ)「おばけさんはぬいぐるみでどんなふうに遊ぶのかしら？」
(ミール)「おばけさんはどんなお料理､お菓子が好きかな？」
みんなで考えを巡らすと、おばけさん達の笑顔が心に浮かんできます。
(イオ)「ぬいぐるみさん達と一緒に夜の街を飛ぶのかな？おばけさん達も、ミールの作るお料理やお菓子はきっと大好きだよ！」
昨日の夜はおばけさんが怖くて眠れなくなっていたイオが、楽しそうにおばけさんのことを話しています。

(ラブ)「おばけさんに会ってみたいわ。」
みんなはラブの瞳に目をやります。
ラブの瞳は純粋な輝きを持っていました。
(ラブ)「おばけさんに夢の外でも会って、ナセキ島のあちこちでいっぱい遊びたいわ。スタッフトゥトイランドで一緒にぬいぐるみで遊んだり、カフェ・ド・アニマルで一緒においしいご飯やお菓子を食べたりしたいの！」
ラブの言葉を聞いたみんなも、にっこり笑顔で言いました。

(イオ)「ラブちゃん、楽しそうだね。」
ラブは笑顔で言います。
(ラブ)「ええ、夢で見たことをみんなでできたんだもの！」
ラブは昨日の夢の中でも、おばけさん達と美味しい木の実を食べていました。
夢の中の出来事を、みんなと一緒にできるなんて、何回「楽しい」って言っても足りないぐらい楽しいものです。
(スノー)「夢の中と本当のことが繋がるって、面白いね。」
明るい気持ちでいっぱいのラブの心にある望みが浮かび、ラブは思わずそれを言葉にしました。